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切妻屋根とドームを持つ図書館「中之島図書館」 その屋根材は?

屋根材

 

築100年を超えて現役の図書館

日本に西洋の建築技術が入ってきたのは、江戸時代末期の19世紀後半ごろ。明治時代以降には、国内外の建築家たちにより歴史に残る西洋風の名建築が数多く建てられるようになりました。そのような名建築の中には、東京駅の赤レンガ駅舎のように今でも現役で使用されている建物が少なからずあります。

大阪の中之島図書館もそんな建物のひとつで、1904(明治37)年の創設以来、府立図書館として多くの人に親しまれ利用されています。格調の高さと優雅さを兼ね備えたその建物の特徴となっているのが、建物ファサードの三角屋根と中央にそびえるドーム屋根です。今回は、屋根を中心に、大阪府立中之島図書館の建築物としての魅力をお伝えします。

ルネッサンス様式とは


大阪市の中心部にあたる中之島地区は堂島川と土佐堀川にはさまれた三角州、まさに島状の地域です。この街のメインストリート御堂筋から中之島に入ると、大阪市役所の建物が目に入りますが、その東隣りに中之島図書館はあります。濃い緑に囲まれた直線的なデザインで石造りのその建物は、格調と神秘性を感じさせ、まるでギリシャやローマ時代の神殿を思わせます。西隣りに位置する、赤レンガの外壁の中之島公会堂の華やかさとの対比も興味深いものです。

この中之島図書館の建物はレンガ及び石造3階建て、屋根は銅板葺きです。また、その基調となる建築様式はルネッサンス様式と呼ばれるもの。これは、イタリアのフィレンツェを中心に15世紀から17世紀にかけ、ヨーロッパ全体に広まった建築や美術の様式で、古代ギリシャやローマのスタイルを再生させつつ、新しい表現を目指したものです。

ルネッサンス様式の建築では、シンメトリー(左右対称)を基調に、円柱の柱やアーチ、壁や軒への彫刻やコーニスと呼ばれる帯状の装飾などを配します。

中之島図書館の外観には、この様式の表現やディテールが随所にみられ、古代ギリシャ風の印象につながっているのです。

特徴的な2つの屋根

そのような中之島図書館の特徴と言えるのは屋根でしょう。
この建物の正面に立つと、まず古代ギリシャ風の4本のコリント式円柱に支えられた切妻屋根が目に入ります。そして、そのうしろにはドーム屋根が控えています。ルネッサンス様式は水平を強調した直線的なデザインが基本ですが、その特徴を備えた直線的な切妻屋根と、ふくよかさを感じさせる丸いドーム屋根。全く異なる形状の2つの屋根が美しいハーモニーを創り出していると言えないでしょうか。

中之島図書館の屋根材は?

これらの屋根はいずれも銅板でできています。銅は非常に古くからある屋根材ですが、金属であることからフレキシブルに様々な形状への加工が可能です。

中之島図書館の切妻屋根は銅板瓦一文字葺きという葺き方で、屋根の傾斜に平行した直線が並びます。一方、ドーム屋根は銅板一文字葺きで、水平に輪を重ねるような葺き方です。これらの施工法は機能性を重視したものですが、それだけでなく、それぞれの屋根のデザイン性を高めてもいます。フレキシブルな銅の屋根材だから、まったく違う両方のデザインに対応できるのです。

2008(平成20)年にはドーム屋根の改修工事が行われました。同図書館の屋根は創立以来ずっと健在です。屋根は雨風などから建物を守る上で最も大切な役割をしてくれる部分であり、同図書館が現役であり続けるのも耐久性の高い銅屋根あってのことかもしれません。

 

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