在来工法より良い? ツーバイフォーの耐震性とは

「ツーバイフォー(2×4)」は、19世紀に北米で生まれた住宅工法のひとつです。日本には1970年代に導入され、“耐震性の高い工法”として幅広く普及しました。実際、阪神淡路大震災や東日本大震災ではこの工法で建てられた住宅の多くが倒壊を免れ、注目を浴びました。

日本に古くからある「在来工法」より地震に強いとも言われるツーバイフォーですが、その違いは何でしょうか?  ここでは各工法をご紹介しながら、その耐震性を探っていきます。

木造住宅の工法の違いとは?

2019年現在、各地で大きい地震が起こっている日本ですが、これから家を建てるのであれば、地震に強い家にしたいところです。もし木造住宅を建てる場合、どのような建て方をすれば、耐震性の高い家にできるのでしょう?

建物の耐震性を確保する方法は、工法(建て方)によって異なります。現代の日本の木造住宅の主な工法には、通称「在来工法」と「ツーバイフォー」の2種類があります。

このどちらの工法が、耐震性が高いのか気になるところかもしれませんが、耐震の考え方や補強の仕方で耐震性が異なってきます。

地震に強い住まい作りのために、在来工法とツーバイフォーの2つの工法の特徴と耐震方法の違いについて知っておきましょう。

在来工法(木造軸組構法)とは


木造軸組構法(以下、在来工法)は日本の昔ながらの建築工法で、柱や梁で建物を支える構造になります。

コンクリート基礎に土台を据え付けて柱を立て、梁などを組み合わせて骨組を作り、そこに壁などを取り付けます。その後、屋根をはじめとする外装工事を経て内装を仕上げていきます。新築の場合、家の大きさや立地などに左右されますが、完成までの目安として4ヵ月から半年の工期がかかります。

先に骨組を作ってから壁を施工するので、間取りの自由度が高く、増改築しやすいのが在来工法の大きな特長です。また、窓の開口を大きく取ることもでき、開放的な家づくりに向いています。

在来工法は柱と梁で耐震性を持たせています。さらに筋交いという建材を斜めに入れ、枠に構造用合板という板を打ち付け補強した「耐力壁」を配置することで、さらに耐震性を向上させています。

ツーバイフォー(枠組壁工法)とは


枠組壁工法は「ツーバイフォー」と呼ばれる工法の正式名称です。断面が2 インチ×4インチの角材を基準部材として使うことから、ツーバイフォーと呼ばれるようになりました。

このサイズの角材で作った枠に構造用合板を打ち付けてパネル状にし、これを床や壁として建物を構成します。基礎工事や土台の据え付けまでは在来工法と同様ですが、その後の現場での加工作業が省力化されているので、新築の工期は3ヵ月前後といった短さで建てられます。

ツーバイフォー工法では家全体をパネルで構成しています。つまり、4つの垂直面(壁)と、2つの水平面(床・屋根)による「モノコック構造」 です。

モノコック構造とは、強度が求められる航空機のために開発された構造です。例えば飛行機・新幹線やF1用のレーシングカーなど、「外皮が強度部材を兼ねる構造物」かつ「極めて強固さが求められるもの」を作るときに利用されます。ここでいう外皮とは住居に例えると天井や壁・床に該当します。
地震や台風といった外部からのエネルギーが加わった場合、在来工法では力が1点に集中して建物が捻じれやすくなりますが、モノコック構造では6面全体にバランスよく力が分散されるので、高い耐震性を実現できるのです。

ただし、壁の配置が耐震性に大きく関わるため、間取りの変更や窓の大きさには制限があります。

工法の違いより大切なのは「耐震基準」

阪神大震災以降の地震では、ツーバイフォー住宅への被害は少なかったとされています。だからといって、在来工法の住宅がそれよりも耐震性が低いとはいえません。阪神大震災で大きな被害を受けた住宅の多くが古い耐震基準で建てられていたか、耐力壁が足りていないものでした。
今は新耐震基準が設けられ、在来工法とツーバイフォーのいずれの工法でも耐震性に違いはなくなっています。

とはいえ、その後何もメンテナンスをしなくていいわけではありません。建築後、構造や土台が湿気などで腐食してしまったり、シロアリ被害が発生してしまったりした場合には、 耐震性が損なわれます。
また、壁により耐震性を確保するツーバイフォーでは、増改築の際の間取りや開口部を変更すると、大きく耐震性が変わってしまう場合もあります。

工法の他に耐震性を上げる方法は?

上記で説明したように、現在では新耐震基準を満たしていれば、工法の違いで耐震性に大きな差が出ることはありません。工法に関係なく耐震性を上げたい場合、効果的と思われるのは「屋根を軽くする」ことです。

地震が発生すると、建物を伝って屋根にも揺れが生じます。高い位置に重心がある屋根が揺れると、遠心力が加わって建物全体がさらに揺れることになります。この時、屋根が重ければ重いほど揺れは大きくなり、住居倒壊の危険が増すのです。耐震性を重視するのであれば、屋根はできる限り軽い素材のものに葺き替えておくとよいでしょう。

おすすめの屋根材は「ガルバリウム鋼板」で、重さは1㎡当たり約5kg。昔ながらの瓦屋根は1㎡当たり約42kgもあるので、揺れをかなり抑えることができ、家屋倒壊のリスクも下がります。

屋根材が重い素材の場合には葺き替え工事の検討を

ツーバイフォーは確かに地震に強く優れた工法と言えますが、古くからある在来工法でも現在の耐震基準を満たしている住宅であれば特に不安はなく、2つを比べても耐震性そのものに大きな差はありません。

それよりも、重い屋根材をガルバリウム 鋼板などの金属素材に変更して屋根全体を軽くする方が、地震対策としては有効と言えそうです。あなたもこの機会にご自宅の屋根材を見直してみませんか?

耐震のおすすめ記事

  • 「耐震性」アップの取り組みにプラスしてできる「減災」の工夫

    「耐震性」アップの取り組みにプラスしてできる「減災」の工夫

    わが家の耐震性を再確認 1981年に新耐震基準が施行されましたが、それ以前に建てられた木造住宅と以降のものでは、耐震性に大きな違いがあります。全国の多くの自治体では、新耐震基準以前に建てられた木造住宅などを対象に耐震診断…

  • しっかり行おう! 木造住宅に行うべき地震対策

    しっかり行おう! 木造住宅に行うべき地震対策

    今、あなたが住んでいる木造住宅は大きな地震が来たとしても倒壊や大破することなく、十分に耐えられる構造や性能を備えているでしょうか? もしも地震対策や耐震性について不安があるのなら、すぐにでも手を打っておくべきです。地震に…

  • 在来工法の家づくりって、どんなもの?

    在来工法の家づくりって、どんなもの?

    日本で最も多い家づくりの工法 住宅を建てるにはいろんな構法がありますが、日本で最も多く用いられているのが木造軸組構法です。在来工法とも呼ばれ、木材が豊かなこの国に古くから伝わってきた家づくりの方法です。木の柱や梁(はり)…

  • 耐震性にも優れる美しいデザインの家

    耐震性にも優れる美しいデザインの家

    家の耐震性は外観デザインと関係する? 地震をはじめとする自然災害の多い国、日本での住まい作りでは、耐震性や耐久性がとても大切になります。とはいえ、住宅に求められるのは性能だけではありません。せっかくのマイホームですから、…

  • 中古住宅のリフォーム、リノベーションは耐震性と断熱性に要注意

    中古住宅のリフォーム、リノベーションは耐震性と断熱性に要注意

    中古戸建住宅の購入にあたってのポイントは 新築住宅に比べて物件数が多く価格帯の幅も広い中古住宅。 新築よりもリーズナブルな価格の中古住宅を購入し、リフォームやリノベーションをと考える人も多いのではないでしょうか。特に、戸…

  • 大震災に耐えた国宝のお寺 現代の在来工法にも通じる耐震対策とは

    大震災に耐えた国宝のお寺 現代の在来工法にも通じる耐震対策とは

      江戸時代以前の耐震対策とは 日本が世界でも有数の地震大国であるのは誰しもが認めるところです。そのため、日本の住宅耐震技術は非常にすぐれたものとなっています。特に1923(大正12)年の関東大震災以降、耐震研…

  • 「地震に強い家」とはどんな家? 地震に強い家と弱い家の違い

    「地震に強い家」とはどんな家? 地震に強い家と弱い家の違い

    揺れを感じない小さな地震も含めると、日本では相当な回数の地震が起こっています。そんな日本で暮らしている以上、自宅が地震に弱い家か、それとも地震に強い家なのかは気になるところですね。そこで、ここでは地震に弱い家、強い家それ…

  • 知っているようで知らない、耐震と制震と免震の違いとは?

    知っているようで知らない、耐震と制震と免震の違いとは?

    地震大国として知られる日本。地震の多い地に併せて建築分野でもその対策が進化していますが、地震対策において耐震、制震、免震という三つの技術が用いられているのはご存知でしょうか。ここではそれぞれの特徴とメリット、デメリットを…

  • わが家は大丈夫?屋根材と耐震性の関係を考える

    わが家は大丈夫?屋根材と耐震性の関係を考える

    地震のとき、重い屋根は不安?それとも大丈夫? この数年間、日本列島では大きな地震が相次いでいます。わが家の耐震性はどうなのか気になっている戸建住宅のオーナーも多いのではないでしょうか。 木造住宅については、屋根が重いと地…

その他のおすすめ記事

  • メンテナンス

    屋根工事がポイント!良心的な外装業者を見分けるために

    屋根工事がポイント!良心的な外装業者を見分けるために

    家を守る大切な外壁や屋根の工事だから 外壁や屋根の修繕・リフォームが必要になったら、外装業者に工事を依頼することになります。外装は住宅全体を雨風から守る重要な部分ですから、きっちりとした施工が欠かせません。とはいえ、屋根…

  • リフォーム

    家の修繕が重なったら、リフォーム? それとも、建替え?

    家の修繕が重なったら、リフォーム? それとも、建替え?

    家は永遠じゃない? 家を購入したり、建てたりしたなら、いつまでも快適に暮らしたいものですね。とはいえ、新築から10年以上経てば、何かしらメンテナンスや修繕が必要になってきます。 また、エアコンや給湯器などの住宅設備の多く…

  • 屋根

    屋根材にも歴史有り!東京駅 スレート屋根の物語

    屋根材にも歴史有り!東京駅 スレート屋根の物語

    東京駅の屋根に注目 日本の首都・東京の玄関といえる東京駅。保存復原プロジェクトにより、2012年に丸の内駅舎が創建当時の姿を取り戻しました。国の重要文化財でもある駅舎ですが、駅として日々機能しながら、観光スポットとしても…

  • 耐震

    「地震に強い家」とはどんな家? 地震に強い家と弱い家の違い

    「地震に強い家」とはどんな家? 地震に強い家と弱い家の違い

    揺れを感じない小さな地震も含めると、日本では相当な回数の地震が起こっています。そんな日本で暮らしている以上、自宅が地震に弱い家か、それとも地震に強い家なのかは気になるところですね。そこで、ここでは地震に弱い家、強い家それ…

  • 耐震

    地震に備えて屋根工事をしよう! 耐震性に優れている屋根とは?

    地震に備えて屋根工事をしよう! 耐震性に優れている屋根とは?

    耐震性を考えて屋根工事をしよう、と目にしたことがある方も少なくないと思います。では、耐震性に優れている屋根とはいったいどのような屋根なのでしょうか。ここでは、耐震性に優れた屋根、地震に強い屋根にするにはどんな工事が必要な…

  • メンテナンス

    ホームインスペクションってご存知ですか?ポイントは”屋根工事”

    ホームインスペクションってご存知ですか?ポイントは”屋根工事”

    持ち家の価値を維持するために 建築の専門家が住宅の状態を検査するサービス「ホームインスペクション(住宅診断)」が広がりつつあります。中古住宅市場の活性化を目指し、国交省もホームインスペクションを普及させる方針です。これか…

  • 屋根材

    スレート屋根の修理はどのくらいの費用を見込めば良いか

    スレート屋根の修理はどのくらいの費用を見込めば良いか

    広く普及しているスレート屋根材とは 青空に風光る季節、日本の住宅街の眺めといえば、青い空に瓦屋根の家並みでしたが、それも懐かしいものとなりましたね。いま、瓦屋根にかわって、広く普及している屋根材はスレートと呼ばれるもので…

  • メンテナンス

    こまめに塗装しよう! スレート屋根のメンテナンス方法とタイミング

    こまめに塗装しよう! スレート屋根のメンテナンス方法とタイミング

    かつての主流だった和風住宅から、洋風住宅へ。日本の建築様式の移り変わりと共に高い需要が続いている 屋根材が「スレート屋根」です。薄くて軽い板状の素材「スレート」を使用したスレート屋根の寿命は約20年~25年と言われていま…

  • リフォーム

    リフォームのトラブル事例集

    リフォームのトラブル事例集

    リフォームのトラブルが急増 ここ数年間で屋根や外壁のリフォームをめぐるトラブルが相次いでいます。 特に、訪問販売によるトラブルが急増しています。突然の訪問で屋根や外壁の不具合を指摘しリフォームを「即契約」させるケースが多…

  • ライフスタイル

    家を建てるときに知っておきたい! 住宅の屋根勾配の考え方

    家を建てるときに知っておきたい! 住宅の屋根勾配の考え方

    家を建てようとするとき、ぜひしっかりと考えてほしいのが屋根の勾配をどうするかという問題です。屋根づくりにおいては素材選びとともに、勾配の度合い、屋根の形が重要な意味を持ってきます。 勾配の違いによるメリットとデメリットな…

すべて ライフスタイル 屋根 リフォーム 屋根材 メンテナンス 耐震

▲ページトップ