ハイテクなのに伝統的!?実は歴史ある屋根材、金属瓦

金属瓦は現代の屋根材?

日本建築の屋根といえば、いぶし銀といわれる黒っぽいグレーの瓦屋根を思い浮かべる方も多いでしょう。一方で、最近は、和風の住宅の屋根にガルバリウム鋼板の金属瓦を使うケースが見られます。

ガルバリウム鋼板は最新の製造技術により、金属なのにサビに強く、高い耐久性を持たせた、いわばハイテクな屋根材です。加工性が良いことから、和洋問わず建築デザインに合わせた加工ができます。軽くて耐震性にも優れていることから、現代の住環境に対応した屋根をフレキシブルに作ることができます。

こうしてみると、金属瓦は現代的な屋根材のように思えますね。しかし、意外と長い歴史があるのです。

江戸時代を代表する金属屋根とは

日本で金属瓦が使われるようになったのは江戸時代。お城や神社仏閣、武家や商家の住宅の屋根が銅瓦で葺かれるようになりました。信長や秀吉の時代までは、銅のような金属の加工は大変な作業でした。しかし徳川幕府の時代に入り、金属加工の技術が進み、さらに労働力の集約も手伝って、金属瓦が広く使われるようになったのです。

銅瓦は高価だったため、一般の住宅には普及しなかったのですが、城郭などの屋根材には多く使われました。その理由として、軽さと高い耐久性、耐火性などがあげられます。当時から金属屋根は高機能の屋根材だったのです。また、高価な銅を使うことは権力と財力の象徴でもありました。

幕府の力を誇示するという意味でも、江戸時代の代表的な銅瓦のお城といえるのは名古屋城でしょう。名古屋城は、1612年、徳川家康によって築城されました。そこには、天下統一に向け幕府の体制を確立したいという意志が込められ、濃尾平野を見下ろす高台に巨大な城郭が建てられたのです。

名古屋城の屋根色のヒミツ

金の鯱(しゃちほこ)と並び、名古屋城の象徴といえるのが、本丸天守閣の五重五層の雄大で美しい緑色の屋根です。この緑色は緑青(ろくしょう)と呼ばれる銅が酸化して発生するサビの色です。サビは金属には良くないもののように思えますが、銅の場合は、この緑青が表面にできることで保護皮膜となり、長期間にわたる耐久性を発揮するのです。

また、銅は耐火性や耐熱性が高いことから、第2次世界大戦中も「名古屋城は焼けない」といわれていました。しかし、空襲から鯱を避難させようと組んでいた足場に焼夷弾が命中、炎上し、鯱も天守も焼失してしまいます。鯱は火災から建物を守る霊獣のシンボルだったのですが…。
現在の名古屋城の天守は戦後復元されたものです。構造は鉄筋コンクリートですが、外観は創建時の通りに作られ、屋根は木製の下地に0.5mm厚の銅板が貼り付けられています。

歴史の中で培われてきた金属屋根

江戸時代に、こんな機能性の高い屋根材が使われていたとは驚きです。とはいえ、感心するのはこれだけではありません。日本では奈良時代から金属瓦があったという説も近年浮上しています。

記録によると、奈良の東大寺に匹敵する歴史を持つ古刹、西大寺の薬師金堂の屋根が銅板で葺かれたとされています。これが、なんと765年のこと。この西大寺の銅瓦の実物は確認できませんが、記録の上では日本最古の金属瓦は奈良時代にあったことになります。

海外の記録を見ると、120年ごろのローマではドーム屋根を青銅で葺いたといわれています。金属屋根には気が遠くなるような長い歴史があったのですね。
これだけの長い歴史の中で、金属屋根の加工技術や施工法の研究が続けられ、蓄積されてきたものが、現代に活かされているのです。

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