屋根材を外壁に!?歴史と現代に見る個性的な家のつくり方

ユニークな異人館

異国情緒ただよう神戸市北野地区の異人館街には、歴史ある美しい洋館が立ち並びます。これらの洋館が異人館と呼ばれるのは、幕末や明治時代以降に欧米人の住居として建てられたためです。北野の異人館には、贅を尽くしたものや凝った造りのものも多く、異人館めぐりを目的に毎年多くの観光客が訪れます。

そうした数ある異人館の中でも、ひときわ目を引くのが、「うろこの家」です。その正式名称は、最後の住人の名前にちなんだ「旧ハンター邸」。外国人建築家の設計により、明治34年に建てられたといわれています。神戸で最初に公開された異人館で、国の登録有形文化財でもあり、そのユニークな外観からも神戸を代表する有名な洋風建築です。

この館がうろこの家といわれているのは、建物の外壁が魚のうろこのような形をしたものでおおわれているから。では、このうろこのようなものは何でできているのでしょう?

うろこの家の外壁に使っているのは

旧ハンター邸の外壁を包むうろこ状のものは天然スレートです。
天然スレートとは、粘板岩という天然石を薄い板状に加工したもので主に屋根材として使われます。とはいえ、屋根材としては高価なものなので、現在では一般住宅にはあまり使用されませんが、東京駅の赤レンガ駅舎や東京霞ヶ関の法務省旧本館などの屋根材に使われています。天然スレートはヨーロッパでは古来より伝わる屋根材ですが、日本では明治・大正期に洋風建築の屋根に多く用いられました。

旧ハンター邸の外壁にはそうした天然スレートをうろこ状にカットしたものが使われています。その枚数は3000枚近くあるとか。通常、天然スレートは四角い板状にカットしますが、カドを落として丸くすることで軽快で優雅な意匠をつくり出しています。

うろこの家は高性能住宅だった?

屋根材である天然スレートを外壁に使うとはユニークな発想に思えますが、天然スレートの性能や特長を考えると理にかなったものかもしれません。というのも、天然スレートは防火性や防水性にすぐれているからです。こうした特長のある材料で外壁をおおえば、火事や水害などの対策になります。また、断熱性が高いことから、室内では夏は涼しく冬は暖かく過ごせるのです。

うろこの家はデザイン性だけでなく、当時としては性能の高い住宅でもあったのです。旧ハンター邸の設計者は外国人ということがわかっているだけで、誰であったのかは不明ですが、天然スレートという建材の特性を知りつくした建築家だったのでしょう。

現代の個性的な家づくりはガルバリウム鋼板で

現代でも、屋根材を外壁に使ったうろこの家のような個性的な家づくりは可能でしょうか?

いまでは、一般の住宅に天然スレートを使うことはむずかしいですが、ガルバリウム鋼板を使えば、さまざまなデザインの家づくりができます。ガルバリウム鋼板は、サビに強く高い耐久性や防災性を持たせた金属素材で、屋根にも外壁にも使える外装材として注目されています。

金属特有の加工性の高さから、ガルバリウム鋼板には縦ラインや横ラインに加えさまざまな表面加工ができるので、うろこのようなエンボス加工を施し外壁をおおえば、現代のうろこの家をつくることもできるでしょう。

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