今も国宝を守る日本最古の瓦屋根とは

瓦屋根はいつからあるの?

昔からこの国で住宅に最も多く使われてきた屋根材といえば、瓦ではないでしょうか。銅やガルバリウム鋼板でできた金属瓦、最近は樹脂製の瓦などもありますが、本来、瓦とは粘土を成形し焼いたものを指します。今回は、この粘土でできた瓦の歴史と、最も古いとされている瓦屋根についてお話ししたいと思います。

粘土を焼いて作る瓦は、色や形は多少違っても、世界各地の建物の屋根に使われてきました。しかしながら、いつ、どこで、誰によって発明されたのかは、いまのところ解明されていません。世界を見ると、現存する最古の瓦は、中国陝西省岐山県の古代の宮殿遺跡で発見されましたが、およそ3000年を経ているといわれています。瓦は紀元前から屋根材として使われていたことになりますね。では、瓦は日本にいつ頃伝わり、作られるようになったのでしょうか? 日本の瓦の歴史を少しひもといてみましょう。

日本の瓦の歴史を知ろう

「日本書紀」によると、瓦は仏教とともに朝鮮半島から伝来しました。西暦588年、当時の朝鮮半島に位置した百済の国から、瓦博士が派遣され瓦の製法を伝えたとされています。その指導を受けた日本の職人たちによって作られた瓦は、奈良県の飛鳥寺の屋根に使われました。これが日本の瓦屋根の始まりと考えられますが、飛鳥寺が完成した596年は、まだ奈良時代の前の飛鳥時代が始まったばかりの頃でした。

奈良時代に入ると瓦は量産されるようになり、唐招提寺などのお寺に使われました。平安時代には品質の低下や、寺院などに檜皮(ひわだ)葺きの屋根が多くなったことにより、瓦はあまり使われなくなりましたが、鎌倉時代には、戦乱で破壊された寺社の再建のため需要が復活します。そして室町時代になると製造や施工技術が大きく進歩しました。現代にもつながる本瓦葺きの瓦は、この時代に完成したと言われています。

その後、江戸時代の中期まで、瓦は主に寺社や城郭に使われてきましたが、一般の住宅に瓦屋根は広まりませんでした。当時までは平瓦と棒状の丸瓦をセットで葺く本瓦葺きになるため、屋根の重量が非常に重く、頑丈で立派な建物でなければその重量に耐えられなかったからです。
江戸時代後期になって平瓦と丸瓦を一体化した桟瓦(さんがわら)が発明されてからは、軽くて製造・施工コストも低い桟瓦は一般住宅にも大きく普及しました。今でも桟瓦は、日本の住宅の瓦屋根に最もよく使われています。

日本で最も古い瓦はどこにある?

以上のことから、瓦は非常に長い歴史を持つ屋根材であることがわかります。ちなみに、「日本書紀」によると日本最古の瓦は飛鳥寺の屋根瓦であるとご紹介しました。それらの瓦は現存しているのですが、どこにあるかご存知ですか? 博物館と言いたいところですが、なんと、今でも瓦屋根として現役なのです。
日本最古の瓦があるのは、国宝であり世界遺産でもある奈良県の元興寺。その極楽堂と呼ばれる本堂の瓦屋根に使われています。元興寺が現在の地に建立されたのは奈良時代に入った710年ですが、実は、飛鳥寺は元興寺の前身です。

飛鳥から平城京への遷都に伴い、飛鳥寺も移転し名称も元興寺と改めたのでした。この移転の際に飛鳥寺の屋根から下ろした約600枚の瓦が元興寺の屋根に使われたことが、昭和30年代の解体修理のときにわかったのです。さらに、それらの瓦のうち約170枚は飛鳥寺の創建時のものでした。

つまり、日本で初めて作られた瓦が1400年の時を経て現役ということです。さすがに変色や退色は激しいですが、驚きの耐久性です。それだけ当時の製造技術も優れていたといえるでしょう。遠い昔の優秀な日本の技術が今でも雨風から国宝を守り続けているとは、ロマンを感じますね。

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